新社屋の新たなエントランスに、自然の力を感じるアートワークをおさめました。
Task プロジェクトの課題
2023年8月に下関を拠点とする中国電機サービス社の本社・工場が新築移転した。1978年に創業し造船業界を中心に、海運に欠かせない船舶電気機器を提供するグローバル企業の移転に、ワーカーの働きやすさを目指した3C(Cool:かっこいい Comfortable:快適なCommunity:交流)がテーマに掲げられた。企業の新たな門出に際し、歴史を未来へと紡ぐメッセージを象徴させる、インパクトのあるアートワークが求められた。
Solution アートプレイスの提案
新社屋のエントランス壁面に、大海原の航行を照らす輝く月を連想させる作品を展開した。現在では高度な船舶電気機器が発明されたが、太古の夜間の航行には月や星々など自然の力が人々の命を守っていた。本作品は、自然のゆるやかな変化を象徴するような作品であり、鑑賞者の移動にともない輝きや色彩が移ろう。月という親しみやすい身近な存在を通して、絶え間なく流れる時間の流れを感じ取り、過去から未来への物語をつむぐレリーフ作品を提案した。
Works 作品
レリーフ作品《interbeing moon geppaku》 |エントランス
自然現象をテーマとした本作は、表面に銀箔を貼り、大小多数の凹凸により生まれる多彩な輝きによって、その表情を立体的に浮かび上がらせる。
一日の時間や天候により異なる表情を見せ、満ちては欠ける月の変容と、それを眺める人びとの心の変化に着目し、すべてのものは変化の過程にあることを伝えている。山本は、作品と鑑賞者の「あいだ」を「interbeing=中間域」としてとらえ、それを世界と自身について気づきを得る空間と見立てる。
「geppaku=月白」とは、月を擬した色彩であり、銀箔の始まりの色彩でもあり、古の人びとが月の色彩を「月白」となぞらえ今日まで伝わっている。伝統色でもあるこの色彩にちなみ、伝統を継承する企業の発展と変化し続ける未来を表現した。
《interbeing moon geppaku》
2023, MDF, 銀箔, Φ1200 mm
事業主 | 株式会社 中国電機サービス社 |
所在地 | 山口県下関市長府扇町5番1号 |
設計デザイン | 株式会社イトーキ |
アーティスト | 山本努 |