東京大学医学部附属病院

The University of Tokyo Hospital | 2026
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東大病院小児科病棟の廊下空間に広がる、
安心と想像を育むアートワーク

Task プロジェクトの課題

東京大学医学部附属病院において、入院生活を送る子どもたちが安心して過ごせる環境づくりが求められた。特に病棟の長い廊下は子どもたちにとって、病室の外へ出て気分を変えたり、家族や医療スタッフとともに移動したりなど、日常的に行き来する動線であるとともに、不安や緊張を感じやすい場所でもある。
本プロジェクトでは、この長い廊下空間を、子どもたちの気持ちに寄り添い、安心感や楽しさ、外の空気や賑わいを感じられる場へとアートにより再整備することが課題となった。
加えて、成長過程にある子どもたちにとって重要な「想像力」を引き出しながら、病院での時間を少しでも前向きに捉えられる体験を空間の中に取り入れること、さらに家族や医療スタッフにとっても心地よい環境とすることが求められた。

Solution アートプレイスの提案

アートプレイスは、院内にいながら自然の中を巡るような体験を生み出すことを目指し、「自然の中の公園」をテーマにしたアートワークを展開した。計画にあたっては、医療スタッフの方々と対話を重ね、病棟空間に求められるアートの役割について構想を深めていった。
アーティストは、テキスタイルのデザインも手掛ける紙野夏紀を起用。紙野の持ち味である、揺らぎのある温かな線と、ファンタジー感あふれるやわらかな世界観を生かし、春・夏・秋・冬それぞれの季節を背景とした風景を廊下全体に連続的に配置した。病棟の廊下を単なる移動のための通路ではなく、子どもたちが日々の生活の中で小さな発見に出会い、想像力を膨らませることのできる場として捉え、四季折々の植物や、愛らしい動物の親子を描いた。また、本作品のために紙野が生み出した想像上の主人公として、妖精「エアリ」を各シーンに登場させた。エアリが季節を連れて世界をめぐるという物語を重ねることで、廊下を移動する時間そのものが、物語をたどる楽しみへと変わる仕掛けを設けている。さらに、東京大学の象徴であるイチョウの葉をさりげなく取り入れることで、場所固有のアイデンティティも表現した。

Works 作品

壁面アート|《季節を連れて世界をめぐる妖精のものがたり》廊下壁面

アーティスト: 紙野夏紀

長期に渡り入院生活を送る子どもたちにとって、病棟はが日々過ごす場所である。本作品はすこしでも日常を楽しく過ごせるようにという作家の想いから、かわいらしい動物と季節を感じられる、自然公園のような空間が描かれている。
物語の主人公は、妖精でエアリという名前。世界中をめぐり季節を連れてくるという設定である。
花が開けば春、夏には緑の葉に触れ、風が色を変えると秋になり、光が淡くなれば冬になる。妖精のエアリは鳥に乗って、一年中世界をめぐり、季節を変える魔法をかけ、木や草や花、動物の親子を見守りながら旅を続けている。
 
《季節を連れて世界をめぐる妖精のものがたり》
2026
素材|壁面シート

事業主 東京大学医学部附属病院
所在地 東京都文京区
アーティスト 紙野夏紀
撮影 木村雅章, 庄野均
Art Direction ArtPlace Inc.