新築の「麹町弘済ビルディング」に先進的なアートを導入。鼓動するように変化する色彩がオフィスの象徴に
Task プロジェクトの課題
1965年に竣工した「弘済会館ビル」のイメージを継承しつつ新たに建設された「麹町弘済ビルディング」では、1階エレベーターホールに設置するアートに大きな期待が寄せられた。オフィスにふさわしい落ち着きを持ち、さらに季節を限定せず長く親和性を保つ作品が期待された。加えて、外部から閉ざされた空間であるエレベーターホールにおいて、外構や自然とのつながりを感じさせる空間性を創出することが求められた。また、上部からの照明を考慮し、陰影や反射を効果的に取り入れることも重要な条件とされ、これらを満たしながら、訪れる人びとに新しいビルの理念を印象的に伝えるアートを実現することが課題であった。
Solution アートプレイスの提案
この課題に対し、若手アーティストユニット「積彩」の大日方伸を起用。積彩は3Dプリンターを用いて多彩な樹脂を積層し、視点の変化によって色彩が移ろう独自の表現を追求している。本作では「鼓動が起きるその瞬間をフレーミングする」というコンセプトのもと、エネルギーの源泉となるミクロの世界に目を向け、まるで生きている彫刻のように刻々と変化する作品を実現した。閉ざされたエレベーターホールにおいても、光と色彩の移ろいを通じて外構を感じられる空間づくりを試みた。 作品のフォルムには、建物の特徴であるゆるやかに湾曲したファサードの曲線を取り入れ、空間に集まり流れ込むエネルギーの集合体を表現。高さ4.2メートル、幅3.1メートルに及ぶ壁面に展開する3Dプリンターを用いたレリーフ作品は初の挑戦であり、施主、設計士、アートディレクターとの度重なる議論と検証を経て完成に至った。 視覚効果や素材、先進的な技術を駆使した本作品は、鑑賞する立ち位置で印象が変化し、日々訪れる人びとに新しいエネルギーを与え、常に進化を続けるオフィスビルの姿を象徴するアートとなった。
Works 作品
レリーフアート|《 Whispering Pulse -鼓動のささやき- 》|1Fエレベーターホール
風景を構成する自然や生命の息づき。
そのエネルギーの源泉となるミクロの世界に目を向け、鼓動が起きるその瞬間をフレーミングした、生きる彫刻作品。
また建物自体の特徴でもある、ゆるやかに湾曲したファサード面のカーブを作品にも取り入れ、この場所に集まり、流れ込んでくるエネルギーの集合体を表現した。
2025
PLA樹脂、アクリル、ラッカー塗料、合板
3,598×2,498mm
事業主 | 公益財団法人 鉄道弘済会 |
所在地 | 東京都文京区 |
設計デザイン | 株式会社日建設計 |
アーティスト | 大日方 伸 (積彩) |
撮影 | 加藤健 |
アートディレクション | アートプレイス株式会社 |